映画「83歳のやさしいスパイ」感想
83歳のおじいちゃんがスパイとは、またすごい設定の映画やなと思い見ました。老人ホームが舞台の映画というのも、あんまり見たことないので、新鮮。
本作は第93回アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞にノミネートされています。2020年公開で、監督はマイテ・アルベルディ。老人ホームの許可を得て、三か月の撮影を行ったみたいです。驚き!
簡単なあらすじ
最近妻を亡くした83歳の主人公セルヒオは、謎の高齢者限定の探偵として雇われることになる。潜入先は老人ホームで、依頼主は老人ホームで親が虐待を受けていると思っているらしく、その証拠を掴むためにセルヒオは捜査を行う。スパイの訓練を受け、老人ホームに潜伏したセルヒオは慣れないカメラや録音機器を使いながら、新人スパイとして悪戦苦闘する中で、悩みを抱えた入居者たちの相談を聞き、親交を深めていきます。
調査を進めていく中で、セルヒオはスパイとしての目的よりも、老人ホームで暮らす人々の孤独や人間関係について目を向けるようになっていきます。入居者との関りを通じて、彼らの喜びや悲しみを共有することで、セルヒオ自身が変わっていく。
感想とか
最初は正直、老人が慣れないスパイをする中でのコメディを描くだけの作品かなと思いましたが、老人ホームの温かさや悩みや問題、そのままの現実をゆったりした風景の中で映しています。最初はコメディで惹きつけてからの、現実の描写の演出により、高齢者の問題を身近に感じさせる素晴らしい演出。昨日のブログで書いた「侍タイムスリッパー」と同じくコメディからのシリアスの転換が上手いですね。また、映画を通して現実の高齢者の福祉や社会全体に対する、高齢者の尊厳や権利について考えさせられる作品でもあります。
本作はアクションシーンなどはなく、「007」などが好きな人には物足りないスパイ映画ではあります。刺激が好きな人には退屈だと思う時間も、もしかしたらあるかもしれません。ですが、筆者はどの方にもおすすめできる映画だと信じています。そんな作品。是非よかったら見てください。
筆者も祖母が老人ホームに入っているのですが、一人暮らしではないし、入居者や介護士の方と毎日話せて、ご飯もあって幸せそうだなと思っていましたが、もしかしたらもっと家族と話したいとか孤独もあるのかなと、ふとこの映画で思いました。老人ホームで楽しいと祖母は言っていますが、やっぱり家族と暮らした方が幸せなんだろうなと。なので、もっとできるだけ会いにいきたいと単純に思いました。
では今回はこのへんで。ありがとうございました。現在(2024年11月)、Amazonプライムやu-next、huluなどで配信中。
今作のポイント3つ
①新人セルヒオのコミカルなスパイとしての冒険。何歳でも新しい冒険はできるということ。
➁老人ホームの高齢者の孤独と温かさの現実を捉えたドキュメンタリー。高齢者の問題を身近に感じられる。
➂セルヒオの入居者との交流を通しての内面の変化、成長
監督 マイテ・アルベルティ
制作国 チリ、アメリカ、ドイツ
オランダ、スペイン
時間 84分
公開 2020年